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なるべく足音は立てないように意識しているようだが、いつ気づかれてもおかしくない状況に彼らは自ら飛び込んだのだ。
「いてっ」
三人目に出てきた男が突然声を漏らした。どうやら入り口の角に足を引っ掛けたようだ。
転けただけなら良かったのだが……。
直後、廊下に一瞬機械音が響く。
嫌な予感を抱きながら、音のした方向に目をやった。
「ミツケタ! ミツケタ!」
俺の予感は的中した。マネキンロボットは首を180度回転させ、頭だけをこちらに向けている。
「う……うわぁぁぁぁぁ!!」
確実に見つかった四人。男たちは叫びを上げ、苦し紛れに走り出す。
当然、マネキンロボットは露になった獲物に狙いを定め、追跡を再開した。
必死に逃げる四人。
無感情な笑顔で追いかけるマネキンロボット。
俺は見つかっていないようだ。だからといって彼らを助けることはできない。
俺が乱入したところで、奴のターゲットが増えるだけ。それに、俺が見つかれば千晴たちにも影響が及ぶ可能性があるからだ。
「嫌だぁぁぁぁぁ!!」
廊下に響く叫び。
それを耳に入れながら、入り口の端で身を潜める。ただそれしかできずにいた。
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