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とうとう部屋の入り口間近までやってきた。しかし、その地点で足音はピタリと止まった。
「おい、行き止まりじゃねぇか!」
「こっちに行こう!」
恐らく足が止まったのは、この声がしたためであろう。
「ミツケタ! ミツケタ!」
声に反応した"殺人鬼"は、再び足を動かし始めたようだ。
離れていく足音で判断した。
標的は隠密になっていない残りの三人へと変わったのだ。
(助かった……)
殺気は消え失せたようだが、異常な心拍数と足の震えは続いている。
目の当たりにしてしまった、人が"殺される"始終を。
捕まった場合のことは考えてはみていたものの、予想を遥かに超えた残虐さであった。
――捕まれば、死ぬ。
一回戦の爆弾ゲームでの脱落の詳細は謎に包まれていた。
だが、これではっきりした……。
――やはり、脱落は『死』を意味している。
疑う意味もない。
廊下で倒れている彼は、誰が見ても死体でしかなくなっている。
「な……何が……?」
千晴のこっそりとした声が届いた。
駄目だ。外の悲惨な状況を彼女には見せられない。
ただ、これだけは伝えなければ――
「一人……死んだんだ……」
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