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俺は焦りと驚きを口にした。
こんな馬鹿に大きな施設を隈無く回らなければならないというのに、ここまで早くクリアする者が出るとは思いもしなかったのは俺だけではないだろう。
オーナーの報告は続いていた。
「ま~、一人でのクリアとなりましたが」
その合格者チームの他の三人はどうしたのか。
とはいえ、考える必要もない。
――何せ、理由は"脱落"しか無いのだから。
「これを見習って、皆さんも頑張ってくださいね~」
俺たちの状況を把握していないかのような口調。
「くそっ、何が『見習う』だ……」
オーナーのプレイヤーに対しての無感情さに苛立った。施設の連中もマネキンロボットと変わらない。
彼らの心は、もはや機械だ。
ただ無感情に人殺しをしているようにしか思えない。
「ここで、面白くなってきたので、ヒントをあげましょう!」
キーの在処についてのヒントのようだ。
やはり、軽い口調が気に障る。
「隠れた階層、薄暗い部屋、青い光」
「……?」
よく理解はできないが、その三点がヒントらしい。
「以上! 無事勝ち抜けることを祈ってますよ~」
放送が終了した。
確実に、奴は無事を祈ってなんかいないだろう。
「隠れた階層……」
黒崎さんが頭を掻きながら呟く。
『隠れた』――これが気になる。
隠れているということは、「普段は立ち寄らないような階層」という意味ではないだろうか。
「……つまりは……地下か?」
とりあえず、俺は自分の意見を述べてみた。
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