Act.8「目覚め」

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「捜索のほうですが、現在は行方不明者の家宅を300人体制で当たっています。しかし、未だ失踪の手掛かりになるものは見つかっていません」 そう問いに答える警察。 千晴の言ったことと明らかに矛盾している。 同じ警察なのだから、見解が違うということなどあり得ない――あってはならない。 だが、今それが起こっているのだ。 (いったいどうなってんだ……!?) 千晴が間違っているのか、あるいはテレビでの話が間違いなのか。 今ここで考え続けていても、恐らく一生解決しないだろう。 一番確実な方法は、本人に直接問いただすこと……。 俺はポケットから一枚の紙切れを取り出す。千晴の電話番号が書かれたものだ。 退院前に彼女から聞いておいたのだ。 好意を寄せる相手なのだから、これくらいは知っておかなければと、勇気を出した甲斐があった。 女性らしい丸々とした筆跡の番号の通りに携帯電話に打ち込む。 今回の彼女との会話はあの過酷な状況下ではなく、普通の日常でのものとなる。 そうなると、途端に緊張してしまう。 電話がかかり、発信音を耳に入れながら、俺は千晴に愛の告白してしまっていたことを思い出す。 ほぼ無意識に打ち明けてしまったことだが、この想いは本物だと自分で分かる。 それに対する返事も、いつか聞こう。 とにかく今は例の情報の真実を知ることが優先だ。 「あっ、ち……千晴ちゃん?」 やはり、俺は緊張している。 「隆次郎君……?」 あちらは俺の電話番号を全く知らなかったからか、彼女は確認をするように俺の名を口にした。 「今から、会えないか!?」 思い切って直接会って話すことを選んだ。そうでもしなければ納得できないと感じたからだ。

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