第一章『安寧、震撼』

10/12
238人が本棚に入れています
本棚に追加
/582ページ
 その台詞は何度も聞いている、とでも言いたげだ。 「ちっ、相も変わらず口の悪い女だな。そんな事より、お前今日は体調不良で欠席なんじゃないのか? 何でこんな所にいんだよ」  もっともな指摘に一瞬狼狽えた静咲だが、負けじと言い返す。 「そういう翔ちゃんこそ、授業抜けてきて何をやっているんだか」 「……人の事言えんのかよ」 「そっちもだよ」  そこで、暫しの沈黙が流れた。  他に見るものも無いので、眼下に広がる景色を二人して無言で眺める。
/582ページ

最初のコメントを投稿しよう!