第一章『安寧、震撼』

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 中肉中背という言葉がぴったりと当てはまる平均的な体格をしており、ふんわりとした栗色の髪をしていた。  彼は二人の姿をみとめると、眼鏡の奥の大きな瞳を細めて微笑んだ。 「お、やっぱり来たかぁ。大体いつもこの時間だもんね。今日は今からどこに行くんだい?」  そう聞かれ、翔は楽しそうな笑顔で返答する。 「いつもの事だが、行く宛は別にねぇよ。一緒に来るか?」  そう聞き返されると同時に、彼は背負っていたリュックをこちらに見せて、満面の笑みを浮かべた。 「決まりだね。でも悠児、大丈夫なの?」 「平気だよ。というか、次は体育だし……ね」 「あー……そうだよね」  そんな二人のやり取りを聞き終えた翔は、満足気な表情で快活に言い放った。 「よし。そんじゃ行くか」  彼の言葉を皮切りに、不真面目な三人組は屋上から去っていった。
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