【第1話】最悪な出会い

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不意打ちに微笑んだ藤堂に何も言えなくなり、仕方なく彼についていく。 仮にも上司… 彼女は道すがら先程の無礼の数々を後悔した。 途中、無言で差し出された手に彼女は小首をかしげた。 少しだけ溜息を漏らすと、彼は彼女の手荷物を持ち再び歩きだした。 溜息をつくぐらいなら持たなくてもいいのにと恨みつつ、彼女はその後に続いた。 藤堂のマンションはわりと近く、すぐについてしまった。 彼女がキョロキョロしていると藤堂に手を引かれ、エレベーターの中へ引き込まれた。 「キョロキョロしない」 「すいません。誰か見ていたら嫌なので」 無言で先にエレベーターを降りた。 デリカシーがないとまた思いつつも、その背中を彼女は小走りに追い掛けた。 「きゃあっ」 そして、急に立ち止まった藤堂にぶつかった。 「あ、すまない」 (…やっぱりキライ💢) 痛い鼻を抑え、左右に首を振る鈴。
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