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不意打ちに微笑んだ藤堂に何も言えなくなり、仕方なく彼についていく。
仮にも上司…
彼女は道すがら先程の無礼の数々を後悔した。
途中、無言で差し出された手に彼女は小首をかしげた。
少しだけ溜息を漏らすと、彼は彼女の手荷物を持ち再び歩きだした。
溜息をつくぐらいなら持たなくてもいいのにと恨みつつ、彼女はその後に続いた。
藤堂のマンションはわりと近く、すぐについてしまった。
彼女がキョロキョロしていると藤堂に手を引かれ、エレベーターの中へ引き込まれた。
「キョロキョロしない」
「すいません。誰か見ていたら嫌なので」
無言で先にエレベーターを降りた。
デリカシーがないとまた思いつつも、その背中を彼女は小走りに追い掛けた。
「きゃあっ」
そして、急に立ち止まった藤堂にぶつかった。
「あ、すまない」
(…やっぱりキライ💢)
痛い鼻を抑え、左右に首を振る鈴。
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