【第1話】最悪な出会い

6/22
前へ
/270ページ
次へ
気分が落ち込んだが、せっかく皆が開いてくれたパーティーなのでなるべく注がれたお酒は飲んだのだった。 皆とお店で別れた頃には、鈴は目もあてられないほど泥酔していた。 こういう時、女は薄情である。 店で休んでから帰りなよと言って、皆早々に帰ってしまった。 面倒見のいい遥奈はパーティーの途中で、別の用事があると帰ってしまった。 頼れる者は誰もいない。 早くしないと終電に間に合わない。 彼女はトボトボと歩き出した。 「うぅ…なんでタクシー捕まらないのよぉ…つか、いない」 彼女の脚はフラフラだ。 水を飲んでは、途中吐きそうになるのを堪える。 「悪酔いしたのも、皆が置いていったのも全部部長のせいだぁ」 軽く八つ当たりの言葉を口にする。 女の恨みは怖いものだ。 たった一回の出来事なのに、いつまでも消えない。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

422人が本棚に入れています
本棚に追加