【第3話】胸の枷

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「部長」 「ん?」 「好きです…大好きです」 鈴はスッキリしたような、曇り一つない笑顔で言った。 「え?」 「大好きです」 藤堂はみるみる赤くなり、耳まで真っ赤になった。 「部長?耳まで真っ赤ですよ」 意地悪に笑う鈴。 「いや…なんて言うか…君が嫌い以外の言葉を言うと嬉しいというか」 口元を手で覆いながら鈴から目を逸らす。 「よろしくお願いしますね♪お父さん」 「………」 鈴はスッキリしスタスタと前を歩き、ついてこない彼に振り向き小首をかしげた。 「部長?」 「ん、今行く」 彼女とは対照的に彼は曇っていた。 (最初のキャラ設定ミスったな…まっいっか。今はお父さんでも鈴が笑っていられるなら) そして、二人並んで歩き出したのだった。
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