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仕事の時はきりりとした涼しげな女性。
そんな彼女は、初めて会った先方の野郎共の視線を全て集める。
連れて来なければ良かったと後悔させられる。
「すず」
「はい?部長」
そして、彼女の耳元で僅かに囁く。
「さっき泣いただろ?メイク直してきなさい」
簡単にかぁと赤くなるところがまた可愛い。
「急いで直してきます!」
「一時間ぐらいゆっくりしてきなさい」
「?」
鈴は不思議に思いながらも軽くお辞儀をして化粧室に向かった。
ざまぁみろ野郎共。
とは口に出さず、ただ口元を緩める藤堂。
「いや~藤堂さんが付き人を連れてくるなんて初めてで驚きましたよ!」
先程の電話の相手、中野が驚いた驚いたとうるさい。
「あれは私の娘ですので、お披露目に」
「え?」
「いえ、冗談ですよ」
普段、冗談や笑顔などみせない藤堂に唖然とする。
「さて、仕事の話をしましょうか?」
「あぁ…はぃ」
いつもより和やかな打ち合わせが始まった。
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