【第1話】最悪な出会い

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「もぉ…呂律がちょぉっど回らなかったんですぅぅ!ぶちゅーは…」 藤堂は彼女の頭を撫で始めた。 「ぶちゅーは?なに?」 無表情な彼と不釣り合いなその行動と言葉に目を丸くする鈴。 「部長は………悪くない…………です」 「宜しい」 少しだけふと笑い、彼は離れた。 鈴は撫でられた所を右手で触れ、俯いた。 自分が悪い、間違っていると思い知らされた。 言葉数はそんなに交わしてはいないのに、自然と彼女をそう思わせたのはなぜだろう? そして、暫くするとガタンゴトンという音が段々近付いてくる。 「あ」 二人のすぐ横を最終電車が通り越していった。 「………」 無言でお財布の中を確認する鈴。 「千円札しか入ってねぇ」 彼女は、軽く馬鹿にするような彼をきっと睨み付け歩きだした。
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