硝子の檻

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 出口には会いに行っていますが、当然彼はそんなことは知らないとしか言いませんでした。 彼の眼をじっと見つめると、彼のコーヒーカップを持つ手が震えていました。 彼は死んでも事実を言わないでしょう。 この事件が表面化したら、日本だけの問題ではありませんから。 国の情報ですら簡単に盗めてしまうわけですから、国際問題へと発展するでしょう。 僕はこの事件に巻き込まれた時に警察にかけこみましたが、前例がまるでない事件だという理由で警察は動いてくれませんでした。 僕以外にどれだけの方が被害にあったのか想像もつきませんし、彼らがどんな目的で今現在盗撮を行っているのかも想像つきません。 しかし壁を越え、周りの誰にもきずかれずに音声を頭の中に送り付けることが出来る装置が、世の中に実在することは間違いのない事実です。 こんなものを使って人を苦しめるなんて許せないことです。 あなたが、もし24時間に渡って盗撮されて、考えていることまで盗聴され自分勝手な理由で「殺してやる」と脅されていたらどう思いますか? 夜中に無言電話がなっただけでも気持ちが悪いですよね。 どこの誰だかわからない連中に24時間悪意を持って覗かれているのがどれほどの苦痛か、わかるでしょうか? 僕は何度も死のうと思いました。
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