ヘンゼルとグレーテル 1

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「ただいま。」 誰もいないだろうと思って開けた玄関に、珍しくキチンと靴が並んでいたから驚いた。 「帰ってたの、健。」 「珍しくな。」 俺が絶対に読まない類いの新聞を開くすまし顔が、俺のものとそっくり同じだから笑える。 俺達は双子だ。 しかも特別よく似ている。 髪型や表情を似せてしまえば、いつからか母親にすら見分けがつかなくなった。 俺としては、こんな仏頂面と一緒にしないでほしいけど、こいつだって同じことを感じているだろう。 俺たちはあまり仲が宜しくない。 俺はそれ以上声をかけることなく、二階へ向かおうとした。 珍しいことは続く。 『あのゲーム』のことを言い出したのは健の方だった。
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