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「ただいま。」
誰もいないだろうと思って開けた玄関に、珍しくキチンと靴が並んでいたから驚いた。
「帰ってたの、健。」
「珍しくな。」
俺が絶対に読まない類いの新聞を開くすまし顔が、俺のものとそっくり同じだから笑える。
俺達は双子だ。
しかも特別よく似ている。
髪型や表情を似せてしまえば、いつからか母親にすら見分けがつかなくなった。
俺としては、こんな仏頂面と一緒にしないでほしいけど、こいつだって同じことを感じているだろう。
俺たちはあまり仲が宜しくない。
俺はそれ以上声をかけることなく、二階へ向かおうとした。
珍しいことは続く。
『あのゲーム』のことを言い出したのは健の方だった。
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