ヘンゼルとグレーテル 1

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しかしその目的が達成されたのは、思っていたより随分遅い時間だった。 なぜならすぐに俺まで精神空間に連れて行かれたから。 初めて訪れた精神空間でわかったことが2つあった。 一つ、健の知り合いとやらはドラッグをやっていない。 二つ、本来、このゲームは男女のペアで参加するものだということ。 「何で俺が女役なわけ?」 「知らん。俺が決めたわけじゃないから。」 精神空間は胸くそ悪い劇場を模していた。 今はもう取り壊されているはずだから、確かにそこは現実とは異なる場所なんだろうと思った。 健が知らなかったことはいくつかあり、精神空間に連れて来られるのは二人同時だということ。 精神空間に連れて来られると同時に衣装が変わるということもその内に入っていたらしい。 パリッとした清潔なシャツが、みすぼらしいチョッキに変わって驚いたヤツが、こっちを見るなり吹き出したことを俺は忘れないだろう。 俺の私服(全身で十八万・・・)は、みすぼらしいが、しっかりフリルのついたミニドレスに変わっていた。
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