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すごい。
ぼくは思った。
ぼくは決して運動神経が悪いわけじゃないけど、リーチの短さが仇となり、どんなスポーツをしてもイマイチ活躍できなかった。
でもこの力があれば、この世界では誰にも負けないかも。
これ、願いに近づいてね?マジやばい!
早く伊織に伝えたいけど、ケータイは圏外みたいだから、戻らなきゃ!
あれ?
ぼく、戻り方知らなかった・・・。
結局ぼくは、学校を終えて血眼になって探してくれた伊織に救助されるまで、その空間にぽつんと佇むことになったのでした。
ちなみに戻り方は来る時と同じように念じるだけでよかった。
こんなカンタンなことに気づかなかったのは、ぼく達の空間にわざわざ入り込んできたやつがいたせいでコンランしたからなんだけど。
(決してぼくのアタマが伊織に負けてるトカそーゆーことではない、誤解しないよーに!)
そんなつまんない出来事のことは、伊織にも話さないでぼくだけのヒミツにしちゃった。
伊織にヒミツを作るなんていつぶりかな。
なんてちょっと考えたけど、伊織と会ってすぐに、伊織にも隠し事ができたことがわかったから良心は痛まない。
伊織は嘘つくとき、かならず目線を散らすからすぐわかる。
伊織の隠し事も、たぶんおもしろい話じゃないんだね。
だから、ぼくは黙っておく。
伊織も黙った。
ぼくらは、夕暮れのなか俯いて帰った。
一言も発さなかったけど、繋いだ手だけは絶対に離すもんかと 思った。
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