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歌う本人であるミヅですら頭が割れそう。
でも、手を抜くわけにはいかない!
美月は更に声を張り上げた。
敵である男は力なく降参を告げて倒れた。
「ようやったとや、美月。」
帰ってきたワタルは上機嫌で、珍しく寿司なんて買ってきた。
いつもなら好きな物を先に取ることなんて許されない。
何かあったのかな、不安半分、期待半分でウニをつまんだ。
「たぶん初心者やったけん、楽勝だったとや。
ベテランだったら勝ちきらんばい。」
「勝ったが勝ちじゃ。
トロ食べらん。」
ミヅの皿にトロが運ばれた。
この人にこんなに優しくされるのは初めてだ。
疑いの目を向けそうになるけど、あからさまにそんなことしたらひどい目に遭わされそうだから、
脂ののった大きなトロを口に運ぶことに従事することにした。
「うまか。」
素直にそう告げると、ワタルは満足そうにミヅの髪をクシャクシャっとした。
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