人魚姫 1

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歌う本人であるミヅですら頭が割れそう。 でも、手を抜くわけにはいかない! 美月は更に声を張り上げた。 敵である男は力なく降参を告げて倒れた。 「ようやったとや、美月。」 帰ってきたワタルは上機嫌で、珍しく寿司なんて買ってきた。 いつもなら好きな物を先に取ることなんて許されない。 何かあったのかな、不安半分、期待半分でウニをつまんだ。 「たぶん初心者やったけん、楽勝だったとや。 ベテランだったら勝ちきらんばい。」 「勝ったが勝ちじゃ。 トロ食べらん。」 ミヅの皿にトロが運ばれた。 この人にこんなに優しくされるのは初めてだ。 疑いの目を向けそうになるけど、あからさまにそんなことしたらひどい目に遭わされそうだから、 脂ののった大きなトロを口に運ぶことに従事することにした。 「うまか。」 素直にそう告げると、ワタルは満足そうにミヅの髪をクシャクシャっとした。
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