ヘンゼルとグレーテル 2

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―――聞こえるか。 頭の中で口を開く。 ―――聞こえるっつーの。 すぐに弟の声が答える。 といっても頭の中で響くだけだ。 耳を通さない返答は、精神空間という特殊な空間においてのみ有効であるとわかってはいても、不可解で興味深い。 そして少しの優越を感じる。 ―――俺たちに与えられた能力はヘンゼルとグレーテルだな。 ―――だから? ―――読んだことあるか? 弟が頭を振る。 やはりそうか。 ―――このゲームでは、与えられた能力によって勝率が大きく左右される。 それならば、能力について良く知り、戦術を組み立てるべきだ。 そう続けた。 ―――その為には、与えられた能力の実態を調べなければいけない。 調べによると、攻撃に長けた能力や防御に長けた能力など、様々なものがあるらしい。 その中で自分達に与えられた能力がテレパシーだけでは軽すぎる。
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