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不思議の国のアリス 1
戦いを終えた私たちは精神空間を解き、空腹を満たしてから仮初めの宿と決めたホテルに戻った。
「案外関西も悪くないね、アリス。」
「そうだね。」
今日は大阪名物をたっぷり堪能したので、お腹がいっぱいで足取りが重い。
私に言わせたら魚はとても食べられたものじゃなかったけど、都会には珍しいものがたくさんあるから目移りしてしまう。
一方、アリスは気分が優れないようで、どんな食べ物を並べても少し食べては残しを繰り返していた。
彼女は確かに普段から少食だが、それにしてもあまりにも少なすぎる。
原因はわかっている。
ついさっき倒したカップルだ。
アリスは優しいから、気が引けてしまうのだろう。
自分の願いの為に他の願いを蹴落とすことは残酷だ。
しかしそういうものだから仕方がない。
割りきるしかないのに。
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