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無事僕の部屋へと帰ってきた僕たちはさっそくチョコレートを食べ始めた
帰ってきたといっても、出て行くとき同様実は窓から
幸い人通りの多い場所でもないので目立たなかった
全ては今日、いるはずのない妹が学校をサボって家にいるのが悪い
まぁそれでも立派でもないがボロくもないいたって普通の一軒家で、お互い顔を合わしたくない理由があるから都合は悪すぎることは無かった
「戻ったっ!」
僕は嬉しくてついガッツポーズをしてしまうほど安心した
喋られる
体が思いように動く
自分の体の大切さを再確認した
しんみりそんなことを考えていたのに
「このえのきの山ってやつ、なかなか面白いね!チョコレートと?このサクサク?のやつがなかなか合うじゃない」
「わ、チョコレートとこのぴーなっつ?美味しい!ほんと美味しい!」
「だるぼのこの食感、不思議だな~」
「なにこれ、チョコレートじゃないじゃん。おかね?茶色いおかね?食べれんの?…うまっ!素朴な味ってやつ?うま!てかチョコレートじゃん!」
マビは意外性もなくチョコレートにハマっていた
僕はそこまで甘いものは好きではない
だからマビが運んでいくチョコレートの量を見ると思わず口を覆いたくなるほどだった
「そんなに食べたら気持ち悪くなるって」
「ならないならない。僕は俗に言う甘党だから」
そう言ってまだ食べ続けているというか食べながら会話をしている
「あ、そういえばさ」
「新触感…このチョコの入ったましゅまろ…。あ、なんだって?」
「…」
内心イラっとしながら会話を進める
「…マビは僕にチョコレートを食べさせたとき、初めてこの世界に来たのか?」
「あー、初めてではないんだけど。初めてみたいなものかな」
マビはそう言うと少し遠い目をした
「?どういうこと?」
「昔、お師匠に連れられて何度かこの世界に来たことがある。けど、僕は小さかったから、あまり記憶もないんだ。覚えているのは板のチョコレートと、それをいつも買ってくれるお師匠の姿くらい」
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