1 ~動物は猫が好き~

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「そうか…」 ほっと一息つくと、忘れかけていたもうひとつの疑問が浮かんだ 「そういえばさ、なんでチョコレートなんだ?」 「なに?」 マビはその言葉だけでは質問の意味を飲み込めなかったらしい 「いやだから、なんでチョコレートを食べさせたのか。そもそもチョコレートなのはなんでなのかってことを…」 「好きだからだよ」 「へ?」 「チョコレートが好きだから、君にチョコレートを食べさせた」 理解できない僕に面倒そうに言葉を続ける 「なんていうのかなぁ、気持ちの問題なんだけど。ようするに思い入れのあるものほど、僕たちは力を使いやすい。…例えば、好きな音楽があるとするじゃない?」 「うん」 「その好きな音楽を聞きながら走るのと、全く興味もない音楽を聞きながら走るのとではやる気が全然違うでしょう?」 「そうだな」 頷く僕にマビはつまりそういうことと続けたが僕はまだふに落ちない 「僕はチョコレートが好きで、君に魔法の一部を分け与えるためには直接は負担が大きいから、チョコレートを媒介に君に力を分けた。好きなものだから力の出し方も変わってくるよね」 「ふんふん。なんとなく分かったような気がする。気持ちで魔法の強さも変わってくるから、マビは好きなチョコレートを僕に食べさせて力を分けやすくしたってこと」 「そう。基本大きな力を使うときはみんなそういうなにかしらの媒介を使うんだ。体内に入れるものは特に多い。美味しいが力になる、そんな単純な考えさ」 「美味しいが力か。それは分かりやすいな」 魔法使いも僕たちと同じみたいなもんだと僕は思った 「それじゃあ、僕に魔法をくれた理由は?」 「それは…、手助けが欲しかったのもあるけど…、」 その先は答えずマビは鼻の頭を気まずそうにかく 今までずっとすらすら教えてくれたのにマビは急に話を渋りだしたので僕もさすがに違和感に気付いた
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