46人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
「なんだよ。言えないことなのか?」
「そういうわけじゃないんだけど…」
「じゃ言ってよ」
「いやそれは…」
「そんなに恐ろしいこと?」
「恐ろしくはないけど…」
問い詰めてみてもうだうだとなんとか会話を避けてくる
今のところ自信満々の皮肉やの自分勝手そうなマビがこうもうだうだしているとなんだかイライラさえ感じてしまう
僕はイライラが頂点に立つ前にまぁいいやと話を切った
「帰んないの?」
僕はとりあえず落ち着いたし
何より寝てたはずなのにどうやら夢じゃなかったみたいだから体は眠気をまとっていた
だからマビがいるとうるさいし寝れやしないと思ってそう促したのに
「帰らないよ」
と言われて僕は思い出した
「ああ、家出中なのか」
「そう。帰る家も場所もない。だから…」
「だから?」
「しばらくおいとまさせて?」
首を傾げて甘えてみせたみたいだが、男がそうやったところで可愛くもなんともない
しかし女ならキュンとくるのだろうか
「そうきたか…」
僕は僕で悩んで悩んだけど、マビの近くは嫌だ
苦労しそうだし、面倒毎に巻き込まれそうだし
でも出てけなんて言うほど冷たく育った覚えもない
だから分かったと最終的には骨を折ったのだった
「でも家族がいるなかでマビも住むのはなにかと大変だよな…」
「まぁ、そうだね。見つからない方がいいんでしょ?」
「まあな。僕の家、あんまり開放的じゃないから」
僕は人知れず
いつかするだろうとは思っていた1人暮らしを
近々しなければならないかなと考えるのだった
最初のコメントを投稿しよう!