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朝
いつものごとく起床
ではなく
僕は慣れない天井
さらには慣れないベッド
空気などを筆頭に
寝ぼけた頭を一生懸命起こした
その頭で唯一慣れていると思う人物を探した
床に転がるそいつは
相変わらず幸せそうに大の字で寝ている
追加するならば
僕の大事な大事な漫画たちを開けたまま
足で踏み潰している
紙が
曲がってはいけない方向に
折り目をくっきりつけて…
太陽はすっかり登るのが遅くなって
僕の誕生日も間近で
クリスマスも間近で
ということはお正月も間近で
行事の躍動感に満ちた今の季節に似合わない悲鳴を
僕はまだ慣れないこの部屋に響かせた
「痛いじゃないか!!何考えてるんだ!唇に洗濯バサミを挟むやつがどこにいるんだ!しかもちょこっとだけ挟むなんてヤル気満々じゃないか!!」
「あ~ごめん。間違えたんだ。すまん」
「嘘つき!あ~痛い痛い。僕の綺麗な唇が腫れてるじゃないか」
「はっ」
鼻で笑う僕をマビは忌々しそうに見つめる
ざまあみろだ
僕は漫画に折り目がつくことが大嫌いなんだ
むしろ開けっぱにしとくのが有り得ない
そのままひっくり返して置いとくとかもうほんと有り得ない
と!
何度も言ってるのにマビは繰り返すから
僕だって我慢の限界がくるに決まってるじゃないか
「それより、バイトいいのか」
僕が促すとマビは忌々しそうにしてた表情がパッと明るくなる
「今日は休みなんだ~。でもおかげさまで、僕少し料理できるようになったもんね」
そう
マビは陽向のすすめ通り飲食店でバイトを始めた
接客は僕が反対したので調理場なんだけどまあうまくやってるみたいだ
「でもなんで接客反対したのさ」
「いや、なんとなく。調理場のがマビに向いてると思っただけ」
「ふ~うん?」
なんとなく接客やったら問題起こしてきそうだと思っただけなんだけど
もちろん言えない
だってそんなこと言ったら奴はむしろ反発して接客やろうかなとか言い出しそうだから
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