《 序 》

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 私にとってその中で一等輝くのは源義朝です。  義朝は『保元物語』の『新院、為義ヲ召サル』中で、為義が 「中でも嫡子の義朝は坂東育ちで弓道の道、奥義を極めている」 と語り、また『新院御所各門ゝ固メノ事』では八郎為朝が 「義朝は合戦の道の奥義を極めている」 と語っているように武将としての実力を高く評価されています。  にも関わらず、入浴時に頚を取られた最期には格好良さも何もなく、寧ろ呆気ないほど格好悪いのです。  あれほど颯爽と馬を駆け、どんな窮地にも臆さなかった義朝だからこそ、この愚かなまでに無様な姿での呆気ない死に様に人生の無情を痛感します。  せめて六条河原で打ち首にさせてあげたかったな、と思えて、勇猛果敢に戦い抜いた義朝の在りし日の姿が愛しく、輝いて見えてしまうのです。  だから、この小編はささやかなモニュメントとして彼へ捧げたいと思います。  愛しの左馬頭義朝さまへ……と。  さて『平治物語』に登場する素敵な男達の活躍をご紹介する前に、彼らが何故、何のために戦ったのか、その経緯背景として“保元の乱”“平治の乱”について触れておこうと思います。    
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