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「ほら、ユイ。早く帰らないと暗くなるぞ」 あたしの体がようやく落ち着いて、ふと時計を見るともう6時を回っていた。 秋にもなると、日が傾くのがだんだんと早くなって来る。 「いっつも送ってくれなくても、ひとりで帰れるのに」 「ばーか!お前だって一応女なんだから。何かあったら危ねぇだろ」 「一応って…あたしのどこが一応なのよ!どっからどーみてもか弱い女の子でしょー!」 「ははっ!か弱いって自分でゆーか!」 本当は嬉しいくせに、なかなかそれを言葉にすることができない。 意地っ張りな自分がキライだ。 素直に、嬉しいって言えればいいのに。たった一言…ありがとうって言えればいいのに。
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