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「………ッ!!」
「遺言書から見て、先生がその犯人で間違いない様子よ。……子どもを愛しすぎた故に芽生えた、彼の独占欲が引き起こした悲劇……と言うことしか言えないわね」
時雨が持っている紙を、机の上にそっと置いた。あまりに衝撃的な結末に、一同は黙り込んでしまった。
「……鮎川先生、それは本当にこの校舎で起こったことなんですか?」
いつもは冷静で、物事を的確に捉えることの出来る隈河でさえ、生唾を飲み込みながらそう問いかけた。
「私、この手の事件を調べているルポライターに知り合いがいるのよ。この学園の先生になるうむを伝えたら教えてくれた。何度か、この学園に取材に来てるしね」
先生がそこまで詳しい理由が頷けた。
俺はふと、窓の外に目を向けると、朝方にしては妙に薄暗くなっているのに気がついた。
雨が降っているから仕方がないだろうと、ふぅと一息をついた時、
遥が、頭を押さえて座りこむのが目に写った。俺は急いで遥の肩を支えたが、そのまま俺の腕の中でぐったりとなった。
「…遥ッ!?大丈夫か、おいッ!!」
「…なにか…が……聞こ……えたの……そしたら……頭が…ッ!痛――!!?」
また再び、遥に激痛が走ったように見てとれた時、大きな揺れが、俺達のバランスを崩した。
「な――…ッ!!地震ッ!?で…でかいぞッ!!」
「凪ッ!!俺に捕まってろ!!」
「きゃっ…ッ!!なに……この揺れッ!?……え?」
「柳原さん!なにしてるの!早く机の下に!」
「待って先生…ッ!!外が…ッ!!景色が……まっく…ッ!!」
――ブツン――……。
テレビの電源を切ったような音が聞こえた瞬間、俺達の意識が、闇の中に消えた。
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