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「……そうだ、皆は?私たちの他に生徒は何処に行ったのですか…?」
私は彼に問いかけると、彼は困ったような顔をしてから言葉を綴った。
「君達のような生徒を……?冗談は止めて下さいよ、ここはアナタ方が通える……」
彼がそこまで言いかけると、廊下側を繋いでいる扉が、小さな音を3回ほど発てた。
「おや?お客さんのようだ……少し待っててくださいね」
彼は私にそう告げると、音が鳴った扉に歩んでいった。
「うに……?ハルカ……?」
「!ユウ!良かったー…心配したよ」
悠歩が大きなあくびを一つした後に、目を擦りながら体を起こした。そして、目を開いた悠歩は途端に体を大きく震わせた。
「ユウ……どうし」
「いやぁぁああッ!?ここ……ここって……!!」
突然、悲鳴を上げた悠歩は、頭を押さえながら小刻みに体が震え始めた。
ガラッ
扉を勢いよく彼が開けた先には、誰も立ってはいなかった。廊下のずっと向こうから、パタパタと足音を鳴らす音だけが聞こえ、姿は見えなかった。
彼は扉を閉めずに、ゆらりと悠歩の前に立ってみせた。ソファに座っている私たちは、彼を見上げる形となっている。
「ハル……カ……走る……よ」
「へ……?」
「早く逃げるのッ!!ここに居たら駄目ッ!!」
私は悠歩に体をぐんと引っ張られ、保健室の外へと一緒に駆け出した。
「ちょ…ユウ、どうしたの!?逃げるって……」
私はその時、衝撃のあまりに言葉が詰まった。
私が今駆け抜けている廊下が、相関学園のものとはまるで別物だったのだ。
窓から覗けた教室に、とても高校生が使えそうもない小さな机。
そこはまるで……
小学校みたいだった。
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