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ミシ…ミシ…
私が足を走らせるたび、木目の床が不気味に音を響かせる。
教室の前を通るごとに言い知れぬ不安が、私の心を侵してゆく。
横切った教室を、意を決して覗き込んだ。
だけどやっぱり、小さい机、その上に色褪せたランドセル。
「……もう……いやーーッ!!」
私は悠歩の手を振り払い、その場に塞ぎ込んだ。
「ドコなの此処……!?私達の高校はドコに行っちゃったのッ!!?」
鎮めないと……私の心。
ユウだってやっと落ち着いたのに……私がこんなじゃ駄目……。
誰か……私の口を塞いで……!!
「柳原ッ!!東雲ッ!!」
ユウは私達の名前を呼んだ彼に目を向けた。私は相変わらず、踞ったまま立ち上がることが出来なかった。
「ごめん……私が大袈裟に騒いだから……ハルカが……!!」
「大袈裟も何も、これ見たら嫌でも騒ぐよ!お前ら怪我無いのか!?」
「怪我は……ない……助けて……助けてッ!!」
「……ッ!!分かった、背中に乗れ、俺が目ぇ覚ましたトコに連れてく。多分安全だから」
そう言って彼は私を背中に背負い、ユウの手を引いて走り出した。
彼の金髪が目に入って痛かったが、久し振りの暖かさに、少しだけ安心できた。
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