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「東雲……大丈夫か、落ち着いた?」
「……ん…ん、ちょっと…」
まだ息の荒い私は、言葉を句切りながら答えた。
「つか、なんでお前ら逃げたんだよ? 大人に会えたんだし、一緒の方が何かと安心じゃね?」
「……」
何故逃げたか。それには答えなかった。
「……ま、言いたく無いならいいけど。てか……この教室」
私たちが入った教室は2-3と書かれていたが、私たちが居た形跡など残ってはいなかった。
「ユウは……落ち…着いたんだ?」
「……少しだけ。アソコに居なければ大丈夫……だと思う」
「どうゆう意味だ?」
悠歩は「さぁ?」とニッと笑って誤魔化した。
一時拡がる沈黙。真っ暗な窓の外から鳴り響く豪雨、カタン カタンと、カイが机の中に手を入れる音が聞こえる。
クシャ と、何かを掴んだ音がするとそれを手元へと引き寄せた。
私と柳原がカイの傍へと寄ってゆく。
「んだ…?この紙切れ……」
「待って…!裏になんか書いてある…見せて!」
ピョンと跳ねて、悠歩はカイの持つ紙切れを掴んだ。その時、悠歩の手がカイの手に触れた。
「――……ッ!!」
「……分かりやすいヤツ」
「うっせッ!!」
顔を赤くするカイを見て、私は頬を緩ませた。なんだか笑ったのはとても久し振り感じ。
「……これって……やっぱり……!!」
柳原の言葉に、私たちは直ぐにその紙切れに目を移した。
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