誘拐【Ⅰ】

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「えっと……『拿獲小便り』……小ってここはやっぱり小学校……」 「いや待てッ!拿獲って言ったらアユセンセーが言っていた、事件があった小学校じゃぁねぇかッ!?」 「まっ……まだ決まった訳じゃないわ、……それに先生の話だともう潰れたになったハズだし。……続き読むわよ。 『この度、拿獲小学校は閉校とさせていただきます。保護者の方々には大変なご迷惑と、被害にあった児童達にご冥福をお祈りします』……」 また、再び広がる沈黙。パサッと、持っていた紙切れが床に落ちた。 「……なぁ、これ……共通点多すぎないか?」 「だからって……決まった訳じゃない…」 私はもう一度同じように答える。 悠歩は頭をクシャクシャと掻いて頭を抱えた。私は窓の縁に手を置いて、外を覗きこんだ。 だがいくら目を凝らそうとも、外には影すら映らず、ただ雨の音だけを鳴らしていた。 「どうなっているの……?まるでここだけ別にあるみたい……」 「東雲、退いてろ」 「え?」 後ろを振り向くと、椅子を大きく振りかぶっているカイの姿があった。 「ちょっ……!!」 「でゃぁッ!!」 カイが叩きつけた椅子は窓にヒビすら残さずに弾き返された。 「――ッウソだろ……?」 カイが持っていた椅子は、大きな音を発てて床に転がった。  
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