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「こんな時に……地震!!?」
「ハルカァ……ッ!!何で……何で!!」
私と悠歩は、身を寄せ合ってその揺れを耐えていた。お互いに伝わる温もりだけが支えとなっていた。
大きな物音がすると、揺れは徐々に小さくなり、やがては無くなった。
私の胸に埋まったまま、悠歩は動かなかった。私の頬に嫌な汗が流れる。
「ユウ……どう…したの?ユウ……?ユウってば!!」
「……なかなかの弾力…」
「ユウッ!!!!」
私は悠歩を突き放した。すると悠歩は人差し指を唇に当てて小さく言った。
「どさくさに紛れないと、ハルカのガードは突破出来ないもの」
「だからってなぜ今その防御壁を破壊したんだッ!!?」
悠歩はまたクスリと笑った。何でこの子はこの状況で……。
そして私はスッと立った。いや、自然と立つことが出来たのだ。
さっきまでの足の震えが、いつの間にか消えていた。
「……ありがと、ユウ」
「んーもうこれ、一生洗わない!」
「ごめん私が馬鹿だった」
私は呆れたように軽く笑って、あの教室に向かって歩き出した。
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