誘拐【Ⅰ】

13/15
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
「な……っ!!」 「ウソ……まさか今の地震で……」 私達が出た教室の入り口は、床が抜けていて入室することも、出ることも出来ない状態だった。 「カイ……は……!?出られたの!?」 「ユウ、落ち着いて!!アイツのことだよ!?ひょっこり出てくるよ!」 息を荒く吐く悠歩を、深呼吸をするように促した。 「……取りあえずここから離れよう。ホントに……ゆっくり休めるトコに……!」 私は悠歩の手を引いてゆっくりと歩きだした。が、悠歩の足取りが、一歩、また一歩と重くなっていき、その場に項垂れるように膝をついた。そして悠歩は顔をうつ向かせたままゆっくりと呟いた。 「皆……何処に言ったの!?私達は一緒に居たのに……!」 「ユウ……落ち着いて、大丈夫、皆に会えるよ」 「ハルカは心配じゃないの!?カイも居なくなっちゃったんだよ!?先生も……芳野くんも!!」 「ユウ……」 「なんで私達だけこんな目に合ってるの!?私達、本当に……」 「ユウッ!!」  
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!