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昼休みになると、初めてのお客さんが来た。
足を擦りむいて、泣いている女の子が保健室に入ってきたのだ。
なんて可愛い泣き顔なんだろう。僕達大人じゃぁ、この顔は作れないだろうな。
「大丈夫かい?待ってて、直ぐに消毒するよ」
女の子は、涙を一杯溜めた大きな瞳をゆっくり閉じて頷いた。
僕は、脱脂綿を消毒液に浸し、女の子の傷口に軽く付ける。
「……染みるけど、我慢してね」
女の子が歯を食い縛っているのがよく分かる。消毒が終わると、女の子はゆっくりと目を明けて綺麗な歯を見せて笑ってくれた。
「シロ先生、ありがと!」
僕はその笑顔に応えながら、絆創膏を張ってあげる。
「よし、もう大丈夫だよ!えと、お名前は?」
「ハルです!月島(ツキシマ)ハル!」
無邪気に笑ってくれたハルちゃん。やっぱり、子ども達の笑顔が一番可愛いなぁ。
「ハルちゃん、僕はいつでもココに居るよ。今度は友達を連れておいで!」
「うん!」
ハルちゃんは、僕が大好きな笑顔を見せてくれた。
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