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「幽霊……か」
呟くと、それが小さく反響した。こんな状況下だと、自分が発した音だろうと問答無用に驚いてしまう。
「あんなグロテスクなところ見ちゃったんだし……正直、生者とは思わない」
悠歩が身震いさせながらそう言った。
大人でも絶えてしまいそうな大きな傷を幾つも携えて、尚も学校にニコニコに登校してくる生徒などいるハズもない。
そして悠歩の話から分かることがもう一つ――
「保健室のあの人が……何か関わっている。ううん、それどころじゃない。悠歩の話だと、その人がその子を……殺したかもしれない」
「子ども達……かもね」
悠歩は小刻みに震えてながら、手首を押さえながら言った。
「わ…私の右腕がッ!!」
「おいッ!怖がってるんじゃないの!?厨二病の発症!?」
「え?邪気眼のが良かった?」
「こんな状況でよくそんなこと……」
悠歩は後ろ髪をかきながら、ニシシと笑った。
全てを話せてスッキリしたのか、悠歩の雲がかった顔が晴れたようだった。
私は、スカートについた埃を払いながら立ち上がると、悠歩に笑いかけた。
「……じゃぁ、皆を探しに行こう」
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