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「…………」
ぼんやりと、見覚えのある天井を見上げていた。
「……ここは…?」
冴えない頭で、考えてみる。
取りあえず、床が瓦礫じゃなくて柔らかいから気持ちがいい。
私の周りを仕切っている、もとは純白であったであろうカーテンの奥から、蒸気が噴き出す音が聴こえる。
ヤカンでお湯を沸かしているような音だった。
私は一体……どうなったのだろう。
私の上に掛かっている毛布をどけて、胡座を作る。
「……あ…れ」
私はあまりにも自然だった。
その自然が、不自然すぎて違和感を覚えた。
私は自分の左腕を上下に振ってみる。
「痛く……ない」
包帯が巻かれているけど、さっきまでとは明らかに痛みが消えていた。
「ユウ……?」
私は呟いた。
そうか、ユウが助けてくれたんだ。
やっぱりユウは来てくれたんだ。
「ユウ……!ねぇ、ドコにいるの…?ユウ……ユウ!!」
私が彼女の愛称を呼び続けていると、目の前のカーテンがゆらゆらと動き、カーテンの端が、握るようにシワが出来た。
「……!!ユウっ!?」
私は沸き上がる思いを抑えながら、彼女を呼んだ。
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