19人が本棚に入れています
本棚に追加
「アユ先生、みんな俺らのクラスに?」
「ええ、居るわ。みんな、アナタの事を心配していたわよ」
俺はニッと笑って、頭をクシャクシャッと荒く拭いた。長めに伸ばした黒髪のせいで、なかなか乾かすことが出来なかった。
俺と先生は2の3の教室の前で歩みを止めた。俺たちは毎日このクラスで授業を受けているのだ。
まだ新しい校舎は、毎日の清掃により、その輝きを保ちつつある。
「芳野くんが綺麗好きなおかげで助かるよ~、毎日ピカピカで気持ちが良いもん」
「……ありがとうございます」
別に綺麗好きな訳ではない。しなければならないことを投げ出すと何故か残る、モヤモヤが嫌いなだけだ。と一人で心の中で言った。
その時、外が眩く光り、激しい轟音と地響きを響かせた。
「うわっ!」
「きゃ…ッ!凄い雷……うーん、これ……直ぐに止む雨かしら?」
「…ッ先生、早く中に入りましょうよ」
先生が頷くのを確認すると、俺は2の3の教室の扉を開けた。
最初のコメントを投稿しよう!