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「さ、気をとりなおして自己紹介を続けるわよ。
私は沙織。草方 沙織(くさかた さおり)。
一応この中では長女よ。よろしくね」
彼女が握手を求める。
それに答える。
「はい!よろしくお願いします」
あのマイペース女が長女だったのか。
いやはやタメ口使わなくてよかったぁ。
「そして最後にこの子が未保(みほ)。ほら未保、あいさつして」
「・・・・よろしく」
彼女はまだあの事件のことで怒っているようで声に怒りの感情がこめられていた。
「もう、そんなに怒んないの。あれは事故だったんだしそろそろ許してあげたら?」
「・・・・やだ」
「もう、ごめんね真くん」
「い、いえ。僕が原因であることには変わりはないですから仕方のないことです」
「あら意外に大人~・・・と、そういえば真くん今年高校入学って言ってたわよね。どこの高校?」
「一応桜董(おうとう)学園に入学が決まってますけど」
桜董学園は東京屈指の名門校だ。
東京に出るんならそれなりの努力を示せという親の言葉に従い、猛勉強してなんとかギリギリ受かったところだ。
いままで田舎者だった俺にとってはそこはパラダイスにちがいない。
青春がぎっしりつまった学校生活を送るのに適した場所であると自負している。
待ってろよ青春!
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