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ここでは万屋なるものを営なんでいるらしい。
いわゆるなんでも屋だ。
さっきのしょうこちゃんの場合でもそうだし、以前は介護を頼まれたりもしたらしい。
「大変だけどやりがいもあるのよー」
と長女は言っていたが、俺はむしろなんでこんな城のような家に住むお嬢様が万屋なんてしているのかが不思議だったのだが、その点に関しては
「女の子にはいろいろあるのよー」
の一点張りで、なにも答えてはくれなかった。
「それにしても真くん」
「はい?」
「未保のことどう思ってるの
かな?」
いきなりなにを言いだすかと
おもえば。
うんまあ、おもしろそうだからあえて答えよう。
「いいんじゃないですか?綺麗だしかわいいし、なによりしっかりしてますし」
「そうよねーさすが真くん、わかってるぅ!」
そう言いながら飛びついてくる。
結局なんのための質問だったのか「うぎゃあ」と突然のダイビングダイレクトアタックに対して振りほどこうとするも離そうとはしない。
「あーもー。はーなーれーてーくーだーさーいい!」
「やーだー!」
なにを言ってるのだこの人は!こんなところをもしあいつに見つかったら――
「何やってんのあんた・・・」
血の気がサァっと引くのがわかった。
死んだ、俺死んだ。
目の前にはぬいぐるみをだきかかえた彼女がいた。
ついでに言うと顔がひきつっていた。
「え、えっとですね?これはそういうんじゃなくて」
「そうよぅ?私たちは別にそんなつもりはないわよ」
よかった、こればっかりは誤解をまねきたくはいようだ。
ひとまず安心。
「二人の愛を育くんでるに決まってるじゃない」
彼女がぬいぐるみを落とした。
うおいいぃぃぃぃ?!前言撤回!言っちゃったよこの人!
「お姉さん?!一体なにを?!」
「あらいいじゃない別にーねー?」
そういってさらに強くだきついてくる。
これ以上はまずい。
彼女の手がわなわなと震えている。
「こ、の・・・」
いやーー!
「ヘンタイがあ!!!」
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