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悪魔は止まったまま動かない。
「あなたはたいしなの?」
悪魔は答えない。
「悲しい顔してる。私にはわかる、あなたは苦しんでる。絶対にあなたを助ける」
悪魔が頷いたような気がした。
私は最上級の光魔法の詠唱を始めた。
まわりの皆は何も言わずただじっと見守っていた。
この光魔法は闇には絶対に効く魔法でもしかしたら悪魔は死ぬかもしれない。だけどしないよりかはマシだと思う。
私は詠唱を終わり魔法を発動した。
「もしかしたら死ぬかもしれない。でもあなたなら大丈夫。それじゃあ行くわ。『ホーリーライトギア』」
リリの両手が光り輝き、その両手を悪魔の前に出した。
その光のせいで悪魔が苦しみ出し倒れ込みながらも声を出していた。
ヴヴオオオォォォォォォォォ
だがその声も少し経つと聞こえなくなった。
悪魔の身体は牙や爪がもとの人間のものに戻り、翼もなくなり、誰が悪魔だったのかがもうわかるほどだった。
リリは魔法を止め、悪魔だった人物を抱きしめた。
ミルちゃんも私の隣に来てたいしを涙を流しながら抱きしめた。
「たいし、無事だったのね、皆心配したんだよ。ミルちゃんなんかもずっと心配してたんだから。私も心配したんだよ……」
私は何も言えなくなりただただ涙を流したのだった。
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