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「ここだ、俺じゃ無理なんだ。入ってくれ」
無理やり案内されたのは、祐馬の部屋だった。
こじ開けたのか、さっきよりもドアが開いて祐馬がやっと抜けられる幅だった。
祐馬はどうにも気が進まない。
理由は三つ。
室内に待つ宙釣りの親友。
そして、先の白い物体が消えたのがこの真下あたりだったこと。
最後に、部屋のドアの重しが一つ増えていること。
室内に入るにはそれを乗り越えて行かなければならない。
その重しは、先ほど山田さんが着ていたものと同じ服装で同じ体系をしていたのだ。
上記の理由により、祐馬はもう中に入るどころか、一歩も足が出ない状態になってしまっていた。
「む、無理だ。俺には、無理だ」
涙声で哀訴する祐馬だったが、無情にも担任は有無を言わさずに彼の襟を引っ掴み、室内へと放り込んだ。
投げ飛ばされる祐馬には一瞬、担任の背後に揺らめく白い影が見えたような気がした。
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