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妙だった。
部屋の前に立つと、何がどうとは言えないが、ひどく不気味な雰囲気を感じた。
説明すると陳腐だが、空間を仕切る扉が、開けられるのを拒んでいるようなそんな空気が確かに漂っていたのだ。
この感覚には何も根拠がない。
だから、祐馬は違和感と忌避を抱えつつも恐る恐るノブを回した。
「お、重っ。な、何だ?」
ドアの向こうで何かが重しになって開かない。
体重を乗せて力任せに押し込むと5センチ程の隙間が出来た。
「……!?」
背中を向けたそれは左腕が力無く垂れ下がり、ゆっくり、ゆっくりと宙を旋回していた。
その首からは何か電気製品のコードらしき物が天井の梁に向かって伸びている。
祐馬が確認できたのはそこまでだった。
徐々に振り返る、変わり果てた親友の貌など見たくもない。気がつくと彼は夢中で走っていた。
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