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全力で駆け抜けると、表の広場には20秒程でたどり着いた。
そこには男女生徒と顧問あわせて13人が集合しているはずだった。
あの部屋で見たモノは現実だったのだろうか。誰かに話して確認しなければいられない。
とにかく、人に会いたかった。
だが、夜の帳と虫の音だけが、祐馬を出迎えていた。
「な、なんだってんだ?」
動悸で張り裂けそうな心臓辺りに手をやると、不安げに周囲を見渡した。
建物の脇に設えられた物置に灯がともっているのが目に入る。
人がいるのかと、小さな窓から中を覗いた。
「ひぃっ」
明かりが不十分だったが、数名分の人の手足が、デタラメな方向を向いて転がっているのは理解できた。
後ずさりした祐馬は、無様に尻餅をついていた。
地に着いた手に違和感を感じて見てみると、そこには固まりかけの赤黒い液体がまとわりついていた。
改めて見渡すと、その液体はそこらじゅうに点在している。
足が震えて動かない。
頭も痺れてしまって考えもまとまらない。
「おい、お前。生きてるのか?」
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