人間と人形

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人間と人形

僕が“始まりの森”に行った日も、フレアはここにいた。 『…誰?』 長い髪で、見たこともない髪色の少女は、僕を見て、第一声がそれだった。 僕は、一目でわかった。 彼女が、“化け物”だと。 「…君は…誰?」 『…人間…!?』 「え?…人間…だけど、それがどうし…ッ!?」 言い終わる前に、少女は僕の首を強く締め上げてきた。 「…カハッ」 一瞬、息が止まる。 『人間がここに何のよう?』 「ゲホッ…ちょっ…息が…」 喋ろうとすると、さらに強い力で締め上げられる。 「…クッ」 少女の手を首から離そうとするが、少女の手は、全く動かない。 「…ぅ…ぁ…」 意識が途切れそうになる。 体に力が入らず、視線が下に下がって行く。 「…?」 視線が下がったことで、僕は、何か違和感があることに気づいた。 「…ちょっ!!」 少女は、さっきまで水浴びをしていたからか、裸だった。 「ちょっ…君…服…ッ!」 慌てて目を逸らす。 「…え?」 一瞬だけ見えた少女の身体…。 何かが違っていた…。 どこかで…見たことがある…。 そう…まるで…人形のような… 『…ハハッ…私の身体がそんなに可笑しい?』 少女は、僕の視線に気づいたのか、嘲笑うように言った。 「いや…そんな訳じゃ…」
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