悲劇

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江成くん曰わく、本来、口裂け女を見える奴は殆どいないらしく、俺たちが見えたのは偶然。 関係者と接触したからだろう、という見解だった。 しかし… 目は合っていないものの、見ただけで…… …………目? 目が合う? あれ?あれ? 最近、誰かと目があった気が… 普段、喋らない奴とか少し気になっている人と目が合うと意識して記憶に残るだろ? それと同じ理屈だ。 どこかで… 初めて会ったのに、目があった。 しかも、普通に会った気がしない… 何だっけ…? 目、目、目… 「………あっ!」 思い出してゾクッとした。 そういえば、1週間前に菊池さんを追いかける途中、上半身だけの人と一瞬、目が合った… こっちを睨んでた… 「あ、あの~ すごく、怖いんですけど?」 「いやぁ~、俺たちは いなくて良かったねぇ。」 橋下が他人事の様に言ってくる。 …うぜぇ こいつも、巻き込みたいな… 「AHAHA! ドンマイだなっ! 二人共! 葬式にはケーキ持ってくよ!」 それ、誕生日ぃぃぃ!! てか、お前金ないんじゃないんかい!! 珠季がボケる… こういう時に関係ない奴が、自分に被害がない奴がふざけてると超うぜぇ… 殴りたい。 そう、思ってる時だった。 のび太が言った。 「ねぇ…さっきから視線 、感じない?」 「え?」 まさか、ここには俺ら以外誰もいない。 何で… のび太は、更に続けて、恐い事を言った。 「正直…あの日も… 僕らがいつものとこで話してた時もずっと…視線感じてた… 気付かなかった…?」 え…? どうゆうこ… おぃ… ちょっと待てよ… 俺、ずっと、『他3人』て… 一人… 足りない…? 糸賀は…? いつ、出たんだ? いや…扉は閉めてあったんだ。 出れば、分かる… じゃあ… どこに…? 「おい…これってやばい…んじゃ…」 ふと、教室のくもりガラスに目をやると、影がゆっくりとドアに近づいてくるのが見えた。 その影は… あの日見た女の姿、ソックリだった…
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