勝負

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「一体…何なの? 台所には何もなかった…わよ?」 …俺は何か忘れてる? 江成くんの言った事を思い出してみる。 『パリンッ』 『お前の母さん… 何だよな?』 『何も…なかったか?』 ………何が? この記憶だけじゃ 分からない。 もっと前? いつの事を 言っているんだ? 『バンッ』 一つの効果音に辿り着く。 口裂け…女…? 『バンッ』 『パリンッ』 ガラス… 割れた? そうか! あの時、俺たちは 天パってて ガラスが割れた音に気づかなかったんだ! でも… それが今になって…一体… 『お前の母さん… なんだよな?』 母さん……? 母さん…… あ……… 俺は気づいてしまった。 重大な事に… これを気付いた瞬間、頭の中がスッキリすると同時に… 鳥肌が立ち、ゾっとした。 母さんは… 目の前にいるこいつは… 母さんなんかじゃない!! だから、最初から気付いていた江成くんは反抗してたんだ。 やっぱり… さすがだ… 「台所って言ってる時点であんたは論外だよ。 台所の手前。 窓ガラスが割れてんのに、何で黙ってんだ?」 「……あ…」 「普通、母親だったら 聞くか怒るかするよな!? ガラスが割れていることに!」 「き、気付かなかっただけよ。」 ありきたりな言い訳… そんなもので騙せる筈がない。 「足からそんなに血ぃ流してるくせに?」 「バカなっ!? ちゃんと 避けたはず…!」 化けの皮が剥がれたな… そいつは、すぐさま足元に目を向ける… だが、血なんて出てる訳もなく… 「ハハハハハハッ! バカだな。あんた! いい加減 姿現したら? 二ノ宮くん?」 やっぱり…… 二ノ宮金治郎像か… そいつ… 二ノ宮金治郎像は、母さんの姿から… 元の 石像に戻った。 「……ヒトノカラダデハ、 ショセンコノテイドノチカラシカダセナイカ…」 …これが、二ノ宮金治郎像… 生で見るのは初めてだ… 「ははっ! 怪談の一つである 二ノ宮金治郎像様が 言い訳か? あぁ、あと… この羊羹とお茶に 有害毒物入れてんのも分かってたから。 皆が、食わなくてよかったぜ。 まぁ、糸賀は食っても良かったけど…」 「どうゆうことだよ!?」
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