勝負

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「もう一体って何だよ? 聞いてねぇぞ!!」 珠季が怒鳴る。 当然だ。 俺だって今日、これ以上 何かが起ころうとしているのならば身が持たない。 「なぁ。二ノ宮くん。 その 『化かす力』ってのは任意で使えんのか?」 「アア。ソウダ。」 任意…? 自分でいつでも化けたい時に化けれるってことか。 また、江成くんが何を考えているのか分からない。 だから、俺たちは見守ることしか出来ない。 「じゃあさ。 それを使う時に何か必要な事ってあるわけ?」 「………クドイナ。 ナニガイイタイ?」 「いやぁ。 他の奴にその化かす力を使えんのかなぁって。」 「アァ。ナルホドナ。 ツカエルゾ?」 何!? つまり…えっと… どうゆう事だ…? って事は… ここの誰かを他の奴に化かす事も可能ってことか! 例えば、俺を橋下に化けさせる事も出来る… ホントに… ひきょくせぇ… これだけでかなり 幅が広がるな。 「ってことはだ。 その もう一体… 化かしてんじゃないの? 例えば…さっき言った…『空気』とかに…」 だとしたら、マズいな… そのもう一体が何者であるか分からない以上、不意をつかれて全滅…なんて事になりかねない。 せめて、もう一体が何かだけでも分かれば… て……テ……け …ん? 何か…聞こえたような? 「アンシンシロ。 バカシテワイルガ イマ、ヤツワココニワイナイ。」 突然聞こえた音に反応し、考えようと思った瞬間、話し出された為、俺は思考を閉じた。 「どうゆう事だ? だったら、『もう一体きている』って言わないんじゃないか?」 確かにそうだ。 ここにいないのならば、関係ない。 どうでもいい。 それを何故、俺たちに言った? 「オマエタチワ マダナニモワカッテイナイヨウダナ。 ワタシタチワ イツデモオマエタチヲコロセル。 タトエ、ソレガドコデアロウトモ… カンケイノナイコトダ…」 どこにいても、殺せる… これは、かなり説得力がある。 現に、さっき口裂け女が来たことも今、こいつが俺たちの目の前にいることからもその根拠がある。 これから先… 一体どうなって行くんだ…? 全く検討がつかない。 俺たちは今日、死ぬのだろうか…? それも定かではない。 そんな事を考えていたら、江成くんがまた二ノ宮金治郎像に質問した。 「じゃあ、あんたは何しに来た?」
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