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「ねぇ、あっち行かなくても良かったの?」
実琴が、少し心配そうに言う。
「俺にとって、何よりも優先するべきは家族の事。まぁ、千尋も大事だけど、やっぱり奏さんの方が大事だしなぁ。」
「一輝が良いならそれで良いんだけどね。」
実琴は苦笑いしているが、クラスメイトと馴れ合うつもりはない。
友達なんかいらない。
俺には、あの人達さえいてくれたら…
「一輝?」
「ん?」
「何ボーッとしてるの?」
「あぁ、ゴメン。でも、実琴と千尋に迷惑は掛けないようにするから。」
「迷惑だなんて思わないよ。私達も家族でしょ。」
実琴が満面の笑みで言う。
「…そうだよな。ありがと。ってか早く真澄迎えに行かなきゃ。」
自分ではいつも思っている事だけど、言われる側に回ると流石に少し照れる。
俺は、実琴に顔を見られないように2.3歩前を歩く為、足を早めた。
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