ー1ー

5/11
前へ
/73ページ
次へ
※千尋目線 「はぁ。」 笑顔で手を振っていく親友の後ろ姿を見ながら、ため息をついた。 一輝が教室を出ると同時に周りがざわつく。 「やっぱり奥村君って、良いよね~。」 「同じクラスってラッキーだったな。」 「俺もそう思う。」 ((みんな一輝の事見てたんだ…)) 家族の事を考えている時の一輝の笑顔はすごいと思う。 一輝の母、奏さんは、とても綺麗な人で、その奏さんに似た一輝も綺麗で可愛らしい顔立ちだ。 本人は気付いてないけど、無意識に出るあの笑顔は… 「ねぇ、藤堂君。奥村君は来ないの?」 一輝の事を考えていたら、クラスメイトに声を掛けられた。 「家の用事がどうしても外せないんだって。」 「そっかぁ。ありがとう。残念だなぁ…」 そう言いながら友達の方へ行くクラスメイトの後ろ姿に、今日2回目の大きなため息をついていた。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

253人が本棚に入れています
本棚に追加