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※ 明良さんの後ろに隠れ、ビクビクしながら少しだけ顔を出して、こっちの様子を見ている一輝を見て僕は、名前を聞いていたのに女の子かと思った。 まぁ、見た目に反して中身は逞しかったんだけど… それから僕達はいつも3人で一緒にいた。 一輝を真ん中に、何をするにも3人一緒。 きっと、先生や友達も不思議に思っていたと思う。 でも、そうなったのには理由があった。 一輝の事だ。 -家族と僕達以外には一線を引いている- 最初は人見知りなのかなって思っただけだったけど、10歳の時に真澄君が産まれてからの態度は酷いものだった。 他人に関わる事を避け、自分を閉ざし、『友達なんかいらない。』一輝の態度全てがそう言っていたように思えた。 でも多くの人は一輝に惹かれる。 見た目もあると思うけど、やっぱり優しさかな。 奏さんと明良さんに大切に育てられているからだろう。 その優しさは、本人の意志とは関係なく自然に出ている。 だからみんな一輝に惹かれるんだと思う。 だけど僕達以外に友達はいない。 「どうにかできると良いんだけど…」 今日3回目のため息は自分でも驚くほど特大になっていた。
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