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奏さんはすごく趣味が多い。
しかも、何が好きなんだと言いたくなるほど色々だ。
勉強は嫌いみたいだけど、自分がやりたいと思った事となると別らしい。
まぁ、俺も奏さんの影響で色々やっているけれど。
「いらっしゃいませ」
ドアを開けると同時に店長の上條雪菜さんの声がした。
ここは奏さんがオーナーをしているお店。
今日は奏さんが作った新作ケーキの試食を頼まれている。
「お待ちしてました。皆様お揃いですよ。オーナーもすぐお見えになると思います。」
雪菜さんに言われ、俺達はいつもの席へ向かう。
「早かったんだね。」
そこにいたのは、俺と実琴と千尋の父親だ。
みんなの顔を見ながら空いている椅子へ座る。
「お待たせ~。」
座ると同時に聞こえたのは奏さんの声。
声のした方へ目を向けると、その手には大量のケーキが。
「ちょっと多くない?」
「みんなが来てくれるの久し振りだったから、張り切っちゃった。」
少し呆れ気味の俺だったけど、満面の笑みで答える奏さんに何も言えなくなってしまった。
「じゃあ、お願いします。」
ケーキを並べ終えた奏さんに促され、俺達は手を合わせて、「いただきます。」と声を揃える。
感想や意見を言いながら食べていると、ケーキはあっという間になくなっていた。
始めと同様に手を合わせて、声を揃えた。
「やっぱりかなちゃんのケーキは美味しいな。」
真澄の声に全員が頷く。
「ふふっ、ありがと。またよろしくね。」
嬉しそうな奏さんを見ると、俺も嬉しくなる。
その後すぐ、明良さん達は仕事へ向かう為に店をあとにした。
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