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ならばランキング上位の作品はどんなものなのかと読んでみて、勝谷は愕然とした。
勝谷がこれまで読んできた本と比べて、それはあまりに酷かった。素人の書いた小説をプロと比べるのはどうかと思う。が、それを抜きにしても充分に酷い。小説と呼べないものも多い。
無料で、誰でも気軽に書ける。勝谷もそれに惹かれて書き始めた口だが、一応は小説の書き方というものを守っている。
文頭は一マス開け、三点リーダーは偶数個で使用し、いくつも繋げない。鉤括弧の中の会話文の最後には句点を打たず、会話文の前に登場人物の名前を書いたりはしない。当然、絵文字や顔文字など論外だ。
だが大半の小説――小説と呼ぶのもおこがましいが――では、それらが守られていない。
それでも自分の作品もいつかは評価されるだろうと思い、そのまま更新を続けていた。
転機は大学に入学する時だった。その時閲覧数は未だに千を超えず、更新も殆ど停止していた。
大学に入学するにあたりパソコンを購入した勝谷は、これからは携帯電話ではなくパソコンで文章を打とうと思い付く。横書きではなく縦書きで自分の文章を見ていると、本を読んでいるような感覚に陥る。
自分の文章が本になれば――そう思った勝谷は、賞への応募という選択肢があることに気付いた。
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